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木馬館

金曜日のレッスン中に入った訃報はK君のお母さんでした。
K君は、木馬館時代に通ってくれていた高校生。
みんなぴかぴかに可愛い17歳だった・・・・・

原付バイクの免許を取ると皆おそろいのサテン地のジャンパーを作って、それを着て木馬館に集合。
イチゴソーダやメロンソーダを飲みながらたわいのない話をしていたね。

そのうちそれぞれ彼女が出来て・・・・木馬館のクリスマス会にはお洒落をして彼女をエスコート。
アルバムを開くとあの日の君たちの笑顔が懐かしい。


サーフィンに夢中になってバイトに明け暮れた彼らの青春のど真ん中に木馬館はあったと思います。
店のドアを開ければ誰かが必ずカウンターに居る。
そうやって皆が集まっていた小さなカフェ・・・・

皆が進路を決め始めていた頃にK君の父親が失踪してしまい・…彼だけが家を手放して働いていく事になった。

専門学校や大学に進んだ皆と毛皮の縫製業に就職して一人暮らしを始めたK君。
彼はそこで相当の苦労をしながら仕事が終わると木馬館に珈琲を飲みに立ち寄ってくれていた。

なけなしのお金で小さな娘や息子の誕生日を祝ってくれたのを思い出すと今も胸がいっぱいになる。

木馬館は母と私が二人で営んでいた。
彼にとっては母親と姉みたいな模擬家族だったと思っている。

母は何かとK君の食事や生活を気遣いランチの残り物などを包んでは持たせていた。



木馬館と我が家には境界線が無かった。
何かあると皆が我が家に来ていた。毎年の正月はたった2Kのあの狭いアパートに皆が集まって飲んだり食べたり子供たちも大喜びだったのを思い出す。

ある晩、K君が思い詰めた顔で我が家を訪れた。
失恋だった。
元夫はまだ食事中だったがK君は食卓に進むと突っ伏して男泣きを始めた。家族はドン引きだった・・・・
嗚咽と・・・夫の納豆ご飯をすする粘った濁音だけが響き渡る。




皆成人式を迎えた日には木馬館で集合写真を撮った。
彼らの中で育った私の子供たちも嬉しそうに写っている。


それから彼らは社会人になって・・・・あのクリスマスの夜に、はにかんだ彼女と一緒になった人もいれば、別の人と結婚した人もいる。
制服が可愛かった女の子もこの中のT君と長くお付き合いをして二人は結婚した。
今は尾山台で花屋さんを営んでいる。
有名ブランドで成功したかに見えたI君はある事件で服役に・・・・・・
「手紙」という映画の様に塀の中との手紙のやり取りがしばらく続いた。
おでん屋を継いだY君、私は今も目黒の平和通り商店街にいけば必ず立ち寄る程、ここのおでんは日本一!と自慢したくなる。
美容師に、町工場の2代目社長、水道や。


皆40半ばの立派なオジサンに成長したのだ。




K君は・・・・K君だけはいつも貧乏くじを引いて来たかも知れない。
理不尽な結婚生活、失踪した父親には亡くなってから再会したと聞いた。どんな思いで火葬場に立った事だろう。
そして・・・母親の介護生活と仕事。


彼の模擬家族は崩壊してしまったから私の離婚で疎遠になっていた年月がある。
それでも娘の結婚式には駆けつけてくれたし、K君は一人で山形に行って母の作る御飯を食べて嬉しそうだったと・・・後で両親の電話で知った。
もう私の作る御飯は食べてもらえないのかな・・・・再婚したからよその家かな。
何だかとても悲しかった。





母親の訃報を彼自身が知らせてきた時に私は、出来る事なら時間の穴埋めをしたいと願った。
「何でも私に出来る事は言ってね・・・・」
「じゃあ受け付け頼んで良いかな」
短いメールのやり取りだったけれど少しでも役に立たせてくれた事が嬉しくてそれから無性に切なくなった。

生きていればきっと、きっと君にだって良い事があるはずだから!!!!!!
君が可愛がってくれた娘は母親になり、姉のつもりの私はすっかり婆ちゃんだけど、また模擬家族になろうよ。

今日は春の冷たい雨が降っています。この雨で今年も桜も散るかもしれない・・・・

これからK君の待つ品川のお寺に向かいます。




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Comments

季節のうつり変わり
こちらも知り合いの葬儀の知らせがあり、駆けつけたくとも10時まで働いていては行けません。
何とか、気持ちだけでもとお花券と手紙を送りました。
多分、k君と私は同じ世代。
この年になると、(自分も含めて)なんで彼女がそんな目に?とか、何も言わずに空に旅立った同級生等色々です。
良い人たちばかり貧乏くじを引いている、切ないです。
そんな気持ちを持ちながら、自分も何とか生活を立てている。
自分もひどい仕打ちに打ちひしがれながらも、心配したり励ましたりしてくれる人達がいる。
(先日は取引業者があまりに私に対する同僚達の態度が酷いので心配の電話をくれた。)
確かに権力等には無縁な人達だけど、そんな人に支えられている。
mako先生の言葉がk君の最高のプレゼントだと思います。
t店のスタッフの笑顔にもいつも癒されます。
Posted at 2010.04.06 (01:18) by まお (URL) | [編集]
makoさん おかえりなさい

今年はチビ猫ちゃんも旅立ったのですよね
いっぱい泣いて下さい

年を重ねると段々お別れも多くなる
ただのお別れじゃなくて
ひとときでも濃い思い出が詰まったお別れが出てきますね

桜の下の野の花たちもとっても綺麗です
makoさんの作られる作品も

今、深夜の家事を終えPCを切る前に見てない記事も拝見して
お休み前のヒーリングDVDの子ぎつねを見ながら書いています
美しく可愛いmakoさんの顔が明日...むくみません様に^^

来月そちらに行く予定があるかもしれません
会えるといいけれど・・・
また携帯のアドレス入れに来ます

ご冥福をお祈りしています
Posted at 2010.04.06 (01:29) by ノエル鷺草 (URL) | [編集]
まおさんへ
まおさんの優しいお言葉に泣きそうでした。本当に生きる事は素晴らしいなんて綺麗事ばかりじゃありません。
むしろなぜ?とか辛い事の方が多いです。
まおさん、あの高校生軍団の世代なのね。

まおさんが癒されるTがカフェも併設されてたら嬉しいよね。
Posted at 2010.04.06 (10:12) by mako (URL) | [編集]
ノエルさんへ
ご無沙汰しています。
長いこと、moon cafe にも遊びに行ってませんでした。
最後にいつものように足早に伺い、今や凄い数のコメントにやっぱり大勢の方々がノエルさんの季節を大事にした一瞬の色彩や植物達、言の葉に共鳴したり感動したり癒されているんだなあ…と実感致しました。
何だかそんなノエルさんに来ていただき恐縮。

はい。チビ猫も逝ってしまいました。
日々色々な事があります。
現在は恵比寿と多摩センターを受け持ち、行ったり来たり。
もし管理人宛てにメルアド知らせて頂けたら幸いです。
お会い出来る出来ないは別として…。
ウェスティンにお泊まりならばお店の方にもお立ち寄り下さいませ。



Posted at 2010.04.06 (10:34) by mako (URL) | [編集]
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プロフィール

mako

Author:mako
その昔、木馬館というCafeをやっていました。

天然石ビーズのお店でジュエリースクール講師を務めてからその後独立。日夜「大人の女性の為のアクセサリー作り」を考えて暮らしてます。
家族は宇宙人の哲爺。

「ねむの木のテラスから」こちらはアクセサリー発信のお教室ブログです。
どうぞ遊びにいらしてくださいね。

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